第2回人権啓発スキルアップ講座講座 2019年11月22日

テーマ:「職場におけるパワーハラスメント防止に向けて」 ~今、取り組むべき防止対策(法制定をふまえて)~

講 師:公益財団法人21世紀職業財団 客員講師 杉本 登志子さん

【講演概要】

パワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置を事業主に義務付ける改正労働施策総合推進法が成立いたしました。改正法では、パワハラの定義を明らかにするとともに、労働者からの相談体制整備など必要な措置を講じるよう事業主に義務付けられることになります。この事を受けて、企業として今から取り組むための知識を、人権啓発担当者として習得し自社内で展開して頂くための講演です

1.パワーハラスメント防止の法制定を受けて

最初に“ハラスメント”という言葉の意味、様々なハラスメントの紹介(アルハラ、ハラハラ等々)、法制化の経緯説明の後、今回の法制化の内容について解説されました。

〇法制化の内容

①パワハラの定義

i)職場での優越的な関係を背景とした言動であり、ii)業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、iii)労働者の就業環境が害されるもの。←従来からの議論内容を引き継いだもの。

②パワハラ防止措置義務:事業主に周知啓発等を義務付け。具体的には11/20公表の指針案参照。

③不利益取り扱いの禁止:相談者からの相談には真摯に対応する必要あり。

④国・事業主・経営者・労働者の責務:労働者に対しても「関心、理解を深める」等を義務付け。

⑤紛争解決の援助等:解決手続を、従来の「斡旋(1回きり)」から「調停(数回実施)」に変更。

2.職場のパワハラ概念の整理

パワハラの6類型の紹介ののち、「パワハラになる例、ならない例①」を説明。ただし、指針案の公表によって資料記載の表現に変更が必要な部分があるため、例②③の説明は省略されました。

続いて、パワハラの裁判例を、2件、紹介された(パワハラの判定等には、裁判例の検討が有益)。

裁判例①:被害者が精神的苦痛を被ったとしても必ずしもパワハラとはならない。

裁判例②:パワハラを受けたときは、後日の立証のため、手帳等の証拠を残しておくことが重要。

3.パワハラ防止対策として

従来の研修等の対策を粛々と進めるとともに、「傾聴」「承認」の実践を行うべき、とのことでした。

〇傾聴

管理職や相談窓口として被害者/相談者の話を聞くときは、「相手の話をゆっくり丁寧に聴く(傾聴)」態度が重要。「傾聴」には技術が必要であり(うなずき、アイコンタクトなど)、2人一組での実践訓練を行なうことが有益である。

講座資料       杉本 登志子さんプロフィール