講演Ⅰ
講演テーマ 「職場での女性活躍推進の課題」
~なぜ、まだなくならないの!? セクハラ、マタハラ~
講 師 アトリエエム(株)代表取締役 産業カウンセラー 三木 啓子さん
【講座概要】
働く女性に対する、性的役割分担意識からの言動がハラスメントにつながることが多く、職場で女性が活躍することを阻害している要因のひとつです。その現状に焦点を当てながら、職場に残る問題を乗り越え、女性活躍を推進するための課題について、企業での必要な取り組みなどを認識できるような講演をしていただきます。
【講座要旨】
1.女性の労働を取り巻く環境の変遷
共働き世帯数の推移、年齢層別労働力率の推移・主要国間の比較、役職者に占める女性の割合等
2.女性活躍に対する課題
上司、女性自身双方に「アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)」が存在する
(上司)当社には特殊事情がある、女性も管理職になることを望んでいない、等
(女性)女性はサポート役が良い、管理職に魅力を感じない、ロールモデルがない、等
⇒それぞれに意識改革が求められている
3.マタハラ、セクハラについて
相談相手として会社の専門部署を選択するケースが極めて低い、セクハラにおいては誰にも相談せずに我慢する、というケースが60%以上。
セクハラが発生する要因は個人の問題(認識・知識不測)、組織の問題(セクハラに甘い、女性が部下であるケースが多く、拒否が出来ない)⇒2020年6月より女性活躍推進法等の一部改正が行われ、その中で職場のパワハラ・セクハラ対策および女性活躍の促進に関する対策が強化された
4.ハラスメント対策について
第三者の関わりが重要(直接働きかける、状況を和らげる、他の人に依頼する)
セクハラにおいては公私のけじめをつける、アフターファイブも仕事と捉える、
性別ではなく個人の技能と適正を活かす等の取り組みが重要である。
パワハラにおいては人事評価の基準を明確にする、正しいマネジメントが出来る指導者を育成する、
行為者には公平かつ毅然とした態度で接する、ガイドライン、相談窓口や研修の充実を図ることが大切である。
講演Ⅱ
講演テーマ 「安心して働くことができる職場環境をつくる」
~助け合える豊かな関係性を築くためのコミュニケーション~
講 師 (一社)大阪府専修学校各種学校連合会 事務局指導員
(大阪府人権擁護士) 梶山 武志さん
【講座概要】
「安心して働ける職場環境の構築」には、人と人との豊かな関係性が不可欠です。そのためには、「多様性を肯定的に受け止める職場環境」「コミュニケーション」に注目し、企業でのあるべき職場を考えてもらえる講演をいただきます。
【講座要旨】
・「理想の職場とは?」という問いかけをスタートに、どういう職場環境が望ましいかを考える講座。
・まずは、「多様性を肯定的に受け止める職場環境」が重要。
目玉焼きに何をかけて食べるか?という例題などから各個人の価値観は様々であること、また大阪では基本とされるエスカレータの右立ちが、日本国内で見たら少数派であるが、世界的に見れば多数派であるなど「ふつう」や「当たり前」という価値観の見直しが必要と述べられている。
そのうえで、何らかの生きづらさを抱える人は自分の周りにいるかもしれないという思いを皆が持ち、それぞれの「違い」を認め合いながら助け合う職場が、安心して働ける職場の要素の一つと説明。
・その「違い」を「強み」として生かすために、職場のメンバーに対し共有された目標を定め、定期的に「ふりかえり」を実施し、ブラッシュアップのための改善点を全員で考えて実行することで、集団力動(グループダイナミックス)が発揮できるようにすることが大切。
その過程で、困っている人から相談を受けた時には、援助的な傾聴が効果的。
・また、目標に対する評価の仕方も大切で、いいものを「いい!」と言える職場環境も重要。
自分を大切にする習慣を通して、他者に対する評価のハードルを下げ、肯定的な視点で公正な評価を励行することが、肯定的な発想で問題解決ができる秘訣。
自分を大切にするとは、アファメーション(頑張った自分を誉める・褒める)ことで、肯定的な体験(喜び)を心にとめ、記憶していく過程で肯定的な自己理解をすること。
その肯定的な自己理解ができることにより、他者の短所を肯定的な視点へ転換する(置き換える)ことができる。肯定的な視点で他者のことを見て、それをタイムリーに伝えることがモチベーションアップにつながる。
叱る時も、人を問題にすることなく行いを問題とし、タイムリーに本人の事を思って叱ることにより、決してハラスメントにならない叱り方ができる。
職場の中で、お互いにいいものをいい!と言える環境は、職員間に肯定的で共感的な態度とその理解があることであり、理想的な職場環境であると考えられる。