◇…「多様な働き方が進む中で、長時間労働やハラスメントなどのストレスによってメンタルヘルス不調になる人が増えている」と語るのは三木啓子・アトリエエム株式会社 代表取締役。 これは大阪市企業人権推進協議会がオンラインで開催した人権講座での1コマ。三木氏は民間企業、男女共同参画センターなど勤務を経て、2005年に同社を設立。セクハラ、パワハラなどのハラスメント防止研修などを企業、行政、教育機関、各種団体などで多数実施している。 ◇…近年、セクハラなどの他に、マタニティハラスメントやパタニティハラスメントなど “〇〇ハラスメント”という言葉がよく聞かれるようになった。昨年からは「コロナ・ハラスメント」が増加しているという。「少しの咳やくしゃみに過剰に反応して、謝罪や席替えを要求したり、仲間はずれにしたりする。さらには感染から回復した従業員を解雇することもある。逆に体調不良を訴えても休ませてもらえない。マスクをしない、感染症対策をしないなどもあげられる」と三木氏は解説。「こうした様々なハラスメントはすべて同じ構図。立場の優位な人からそうでない人への人権侵害である。これに適切に対応せず、労働者のメンタルヘルス不調を放置する事業主や管理監督者は、安全配慮義務に違反している」と指摘する。 ◇…三木氏はメンタルヘルス対策5か条として、メンタルヘルスの正しい知識の周知、ハラスメントの知識・相談窓口の周知、産業医・医療機関等との連携、働き方の見直し、コミュニケーションの見直しを掲げている。「雑談は心のオアシス。少しでも雑談を楽しむ時間を大切にしてほしい。そして些細な事でも一人で悩まずに相談できる体制を職場の中で作っていって頂きたい」と訴えた。 (日刊ケイザイ新聞 講演記事)
